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オムニバス法の立法過程:インドネシア

10/12/2020 …… symptoms / signs

オムニバス法の立法過程:インドネシア

『じゃかるた新聞』:本名純
5日に可決された雇用創出オムニバス法をめぐり、インドネシア各地では、法案に賛成する政府・財界と反対する市民との間で軋轢が生じ、混乱が広がっている。背景には、その内容とともに、与党が2011年に定められた「透明性と市民参加を促す義務」に違反し、トリッキーな手法で成立を急いだことがある。


【所感】オムニバス法とは、雇用創出のための投資誘致を目的に、事業許認可、投資要件、労働(最低賃金、退職金、失業補償)、中小零細企業、事業便宜、土地収用、経済地区労働、投資など11分野について、関連する79の法律を一括改定するものである。新自由主義政策の典型で、当然、労働条件の悪化に対する懸念が広がり、6日には各地で、各種労働団体、学生運動による抗議デモが起こった。ジャカルタでは8日に一部参加者が暴徒化、その波紋が広がり、全国で市民・警官合わせ200人が負傷、3900人が拘束される事態となった。上記記事にもみえるとおり、事態の悪化の一因には、政府/市民の信頼関係の欠如がある。このような行政による法律の恣意的解釈、政策の断行は日本でもみられ、新自由主義のもたらす政治情況の最たるものだろう。アジアでは、東南アジアや香港、台湾などの市民社会に連帯の動きがみられるのに対し、日本では政府の意向に盲従し、周辺諸国の情況を冷眼視する構造が作られてしまっている。近年は、それへの同調圧力を「日本の伝統の和」といいくるめるフェイク言説も横行しており、大いに注意される。広く世界に目を向け、自分たちの足もとを見直さねばならない。(北條)

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