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「思想統制」「国民目線とずれ」 中曽根元首相の合同葬巡り教育現場から批判

10/14/2020 …… symptoms / signs

「思想統制」「国民目線とずれ」 中曽根元首相の合同葬巡り教育現場から批判

『毎日新聞』Web版:近藤諭・松本光樹・石川将来・福富智
中曽根康弘元首相の合同葬に合わせ、政府が全国の国立大など教育現場へ、弔旗の掲揚や黙とうで弔意の表明を求めていることが明らかになった。国公立大学の教職員、院生らには、「思想統制ではないか」との不安や批判が広がっている。一部からは、教育基本法に違反するとの声も挙がっている。


【所感】昭和天皇の大喪の礼の際にも、教育現場に半旗の掲揚が要請され、種々の議論や混乱が生じた。それから30年の間に、この国は、単なる「元首相」を「天皇」に近い扱いとするまでに非民主化されてしまった。また、非自民党出身の元首相が亡くなったとしても、現政権がかかる措置を行わないであろうことからすれば、これは必ずしも国権の強化ではなく、一政党による国家の私物化にほかならないことが分かる。大阪府教育委員会が、教育基本法第14条第2項(「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」)に抵触する怖れがある、と見送ったのも肯ける。かつての帝国日本を称揚する向きも、絶対に反対せねばならない案件なのではないか?
なお、問題の通知「府総524号」(内閣官房長官発出、文部科学大臣宛)は、弔旗掲揚について、「大正元年閣令第1号に準拠し」としている。すなわち、「大喪中ノ国旗掲揚方」(大正元年7月30日閣令第1号)で、明治天皇の大喪に際して定められたもの。以降の大喪については戦後も踏襲、東日本大震災の際にも援用されているが、こと教育機関への下達において、天皇制に関する帝国日本の法令が安易に持ち出されていることには、やはり疑問符を付けざるをえまい。(北條)

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