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猫ブームの効果?

08/31/2021 …… symptoms / signs

猫ブームの効果?

環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」
環境省「平成16~令和元年度の犬・猫の引取り及び処分の状況」によると、犬・猫の殺処分は、この15年の間に減少傾向にある。2004年段階では保健所の引取数の合計が418,413、うち殺処分数が394,799で、全体の94.4%に達していたのに対し、2019年段階では引取数85,897、殺処分数32,743で、38.1%に止まっている。


【所感】引取数が減少し、返還・譲渡数が増加していることは、殺処分の減少へ向けて、社会の意識が高まったことを意味している。「32,743」という数字は未だに大きいが、この15年で1/10まで減少したことは、関連の団体、関連機関の努力の賜物だろう。ところで興味深いのは、犬の返還・譲渡数が2014年度25,297、2019年度27,126とほぼ横這いなのに対し、猫のそれは、2014年度4,026、2019年度25,941と、6倍にも増加していることである。15年前、野良猫たちの置かれていた情況がどれだけ苛酷であったかを物語る数字だが、そこから彼らを救い出したのは、現在に至る猫ブームであったろう。テレビや雑誌、YouTubeやSNSでは、愛らしい猫たちの画像が、毎日のように視聴者を楽しませている。水の入ったペットボトルを立て並べて庭への侵入を妨害し、見つければ箒を振って追い出していた人々の、野良猫たちをみる目も変わってきた。弊害も大きいブームだが、人々の意識を変える力は、確実にあったようだ。

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