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ウミガメの卵、悩む保護団体 移動、ふ化率20ポイント低下/見守り、波の危険性高く 産卵地・宮崎

08/26/2021 …… symptoms / signs

ウミガメの卵、悩む保護団体 移動、ふ化率20ポイント低下/見守り、波の危険性高く 産卵地・宮崎

『毎日新聞』Web版/東京夕刊:杣谷健太
宮崎県では、保護団体が、ウミガメの卵を安全な場所へ移動する取り組みを続けてきた。例年、開発等で砂浜の面積が減少、卵が波にさらわれる危険が高まっているからである。しかし、移動時の振動で胚がダメージを受けると、ふ化率が低下してしまう。どちらのリスクが高いのか、保護の現場は苦悩している。


【所感】文中、砂浜面積の減少については、河川の護岸工事や砂利採取、防潮堤などの構造物の建設が原因として掲げられている。いわば野生/文化の領域を分けるゾーニングの問題で、いわゆる〈獣害〉の増加はその境界が曖昧になっていることを伝えるが、一方で東日本大震災以降の東北太平洋岸など、災害を理由により明確な仕切り線を引こうとする傾向もうかがえる。本当は、クマの出現を遮る下草を刈った空間や、東日本大震災の津浪で〈復活〉した潟地のように、適切な面積の緩衝地帯が必要なのだろう。そうした場所こそが、野生/文化の交渉/調整しあう、本当に豊かな場所だったのではなかろうか。(北條)

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