11/27/2020 …… symptoms / signs
広がるクマ生息域 全国事故多発、被害者最多ペース
専門家「市街地に近づけぬ対策を」
〔『北海道新聞』Web版:内山岳志〕
クマの市街地への出没被害が、本州のツキノワグマで増加している。背景には、農村の過疎化に伴う緩衝帯の消失によって、野生動物の生活領域と人間のそれとの境界が曖昧になっている点がある。北海道のヒグマでは人的被害は起きていないが、下草刈りや放棄果樹の伐採など地域ぐるみの努力が望まれる。
【所感】COVID-19感染拡大下における経済抑制で、各地にグリーン・リカバリーの現象が起き、動物由来感染症の根絶の目的もあって、グリーン・ニューディール政策の徹底が叫ばれている。しかし一方では、このような地域レベルの現実的被害も多く、ネット上では、「クマの駆除」をめぐって論争も生じている。緩衝地帯の設定は以前から強く主張されており、1970年以降人的被害の起きていない北海道では、それが徹底されてきた経緯もある。この問題に長く関わってきた羽澄俊裕氏の新刊『けものが街にやって来る:人口減少社会と野生動物がもたらす災害リスク』(地人書館)でも、そのことは強く主張されており(「野生動物は駆除すればよい」という地域社会の神話からの脱却も、併せて重要な点である)、2030年のSDGs完成へ向けて、野生動物/人間との関係を調整するエコシステム・マネジメント、それを担うポストとしてのエコシステム・マネージャーの養成が提案されている。この機会に、われわれの日常生活に直結する問題として考えたい。(北條)